プロジェクトストーリー
グラングリーン大阪 ショップ&
レストラン開業プロジェクト
大阪の一等地に新たなランドマークが誕生。
時代のニーズに対応しながら、
選ばれ続ける場所にする。
「グラングリーン大阪 ショップ&レストラン」は、梅田貨物駅跡地を再開発する大規模プロジェクトである。約4.5ヘクタールもの広さの「うめきた公園」を中心に、商業施設やホテル、オフィス、MICE施設(国際会議場や展示施設)を内包する大型複合ビルで構成された新たな街が、西日本最大のターミナル駅・JR大阪駅の目の前に誕生する。なお、2024年秋から順次オープンし、2027年度の全面開業を予定している。
- T.K
- うめきた営業部所属
グラングリーン大阪 営業担当
社会学部 卒
2012年入社
- O.T
- うめきた営業部所属
グラングリーン大阪 販売促進担当
スポーツ健康科学研究科 卒
2024年入社
※所属や担当は、プロジェクト当時のものです。
Episode 1
テナント従業員も顧客のひとりと考え、
快適なバックヤードを整備する。
「阪急阪神ビルマネジメントだけでなく、阪急阪神ホールディングスグループ全体として注力するプロジェクトに参加できるのは、私にとってとても光栄なことでした」。そう語るのは、2021年にうめきた2期開業準備室に配属され、以降プロパティマネジメント業務に携わるT.Kだ。
プロパティマネジメントとは、不動産オーナーに代わって不動産の価値を最大化するために、建物の運営管理やテナント管理、収支管理などを行う仕事である。その中で彼は、リーシング全体スケジュールの立案、施設ルールおよびスタッフマニュアルの策定、テナント向け説明会資料の作成、お客様利便設備の立案から設置などを任されていた。
実はT.Kは、隣接する「グランフロント大阪 ショップ&レストラン」開業時のプロパティマネジメントに関わった経験を持つ。それだけに、当時できなかったことをアップデートして実現させたい、という思いが強かった。また、現在グランフロント大阪に入居するテナントから意見や要望を参考にグラングリーン大阪に反映させた。
「テナント従業員も顧客のひとりと考え、従業員満足度の向上や福利厚生の充実、施設優待券の使用方法の改善に取り組みました。無人コンビニを併設した休憩室やロッカールーム、更衣室など、通常は後回しになりがちなバックヤードにも重点を置いた。来館者、オフィスワーカー、テナント従業員の満足度を高めることで、結果的に施設の価値向上につながったのではないかと思います。」と、T.Kは確かな手応えを感じる。
他施設や協力会社と情報交換を重ねる中で自社にはないノウハウを吸収し、その時その時の最善策を、受託元でもある阪急阪神不動産に提案する。まだDX(デジタルトランスメーション)という言葉が世の中に浸透していなかった時期だったものの、施設のコンセプトである「緑とイノベーション」にもとづき、積極的にデジタル化を推進していった。
従来は紙ベースだった申請書や従業員証をアプリ化して手続きを簡素化し、テナント従業員、営業管理側双方の業務効率化を図った。また、既存システムを使わずゼロからアプリ開発を行い、社内にナレッジが蓄積されたのは大きな功績と言えた。
Episode 2
OSAMPOアプリの利用促進に尽力。
新しい仕事にも必死に食らいついていく。
2024年4月に阪急阪神ビルマネジメントに入社したO.Tは、新入社員研修後、うめきた2期開業準備室に配属された。就職活動時からグラングリーン大阪に強い関心を持っており、希望通りの配属だった。担当することになったのは販売促進業務である。具体的には、公式ホームページの運営管理、SNSの企画運用、イベントの計画・実施のほか、自ら志願しBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを用いたデータ収集および分析も行った。
同年9月の先行開業に向けプロジェクトは佳境を迎えていたため、当初は先輩社員のサポートがメインだった。フロアマップや店舗情報を掲載したリーフレットを作成する過程で、仕事の進め方、あるいは店舗や協力会社とのリレーション構築の仕方を学んでいった。
リーフレット制作では、初校から二校、三校と、構成やデザイン、文章に関するチェックが入り、校正終了の回答を得た段階で印刷工程に回る。多くの人が手に取るため、誤字脱字は許されない中、何度も内容を確認し、部内や協力会社と常に連携を取り続け、無事に完成を迎えた。
また、開業とほぼ同時期に「OSAMPOアプリ」のリリースが予定されていた。OSAMPOアプリとは、前身の「OSAMPOカード」をアプリ化したもので、ポイントの付与や利用、店舗検索といった機能があり、イベント・キャンペーン情報、さらには会員限定特典などの情報を得ることができる。リリース後に、O.Tはカードからアプリへの切り替え促進と新規会員獲得に奔走した。
「日々新しい仕事への挑戦で、正直たいへんでしたけど、やったらやった分だけ自分自身の成長が感じられ、楽しくもありましたね。とにかく足手まといにならないよう、必死に食らいついていました。」と当時を振り返る。
持ち前の探究心を生かし、なぜ今この議論をしているのか、なぜこのルールが必要なのか、常に自問自答した。とはいえ、仕事はどんどん降りかかってくる。忙しさに振り回されてはいけない。自分の頭で必死に考え、それでもわからなければ、上司や先輩社員に質問した。わからないことをわからないまま放置しておくのが最も良くないと、身をもって知った。
Episode 3
課題は一朝一夕には解決できない。
事業者とも連携しつつ最適解を導き出す。
グラングリーン大阪 ショップ&レストランの運営は計9社の開発事業者が主体となるが、商業施設やホテル、オフィスなど、用途ごとにわかれていたため、共通認識を形成するのに苦労した、とT.Kは言う。さらに、コロナ禍で会議はほぼオンラインで実施され、関係者でありながら直接顔を合わせたことのないメンバーも多かった。
不動産管理に対する考え方は、事業者ごとに異なる。たとえば、テナント従業員が出勤する際には、防災センターを経由するのが通例だが、今回はあえてそのルールを撤廃し、各店舗に直行できるスムーズな導線を確保した。これについて、従来通りの導線にすべきだと主張する事業者もあり、理解を得るのが難しかった。
また、公園の運営管理のノウハウが自社内になく、イベント開催時や店舗へ納品する車両の搬入出経路や作業ルールは、開業直前まで決まらなかった。事業者9社によって組成された「一般社団法人うめきたMMO」が主導し、近隣の植栽管理水準を統一した良質な景観形成や、周辺道路の利活用、まち全体のにぎわい創出に取り組んでおり、緊密に連携する必要があった。
一方、販売促進担当のO.Tが事業者とやりとりする場合、マスターレッシー(マスターリース契約における借主)の阪急阪神不動産が窓口になった。ただ、他の事業者との定例会議にマスターレッシーの代理で参加するときもあり、改めて彼は、裁量権の大きさと、それに伴う責任の重さを感じることになった。
不動産管理の課題は、一朝一夕に解決されるものではない。技術革新や社会情勢、ライフスタイルの多様化など、外部環境の変化によって人々の要求や価値観は変化し、それに応じて消費行動や社会の仕組みも変容していく。むしろ時代のニーズに対応し続けることこそが、この仕事の醍醐味なのではないだろうか。
「開発途中のグラングリーン大阪は今後、さらなる発展が見込まれます。ただ、まだまだ認知度は低く、販売促進担当として施設の魅力発信に努めていきます」と、O.Tは決意を新たにする。そしてまたT.Kも、数年後の青写真を描く。「大阪の人気観光スポットといえば、まず大阪城や道頓堀の名前が挙がりますが、それを自分たちの手でグラングリーン大阪、あるいはうめきた公園に変えていこうと思います」と。
「まちでの出会いが、様々な価値を創造し、持続的にみんなと社会全体を良くしていく」こと。これがグラングリーン大阪の目指すまちづくりである。まちびらき後も、人々のQOL (クオリティ・オブ・ライフ)向上や自己実現の機会拡大、企業のサステナブル推進活動やイノベーション創出など、新たな価値を共創するために、阪急阪神ビルマネジメントが建物や空間すべてに関わるトータルマネジメントを担っていく。